【体験レポ】出生前診断・クアトロテストは受けるべき?費用やNIPTとの違いも

妊娠・出産

高齢出産が増加している近年では、「出生前診断」という言葉をよく聞くようになりました。出生前診断とは、妊娠中に赤ちゃんの先天性疾患を調べることができる検査です。出生前診断の1つである「クアトロテスト(母体血清マーカー診断)」とはどんなテストなのか、実際にクアトロテストを受けた筆者の体験談をもとに解説します。

クアトロテスト(母体血清マーカー診断)とは

クアトロテストは、胎児がダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形に罹患している確率を算出するテストです。

  • ダウン症候群:知的発達や運動能力の発達に遅れが見られる。心臓や内臓の病気を合併する可能性が高くなる。
  • 18トリソミー:主に心臓の形に変化が見られ、重度の知的発達障害とされる。50~90%がお腹の中で死亡してしまい、無事生まれても平均生存期間は2~3か月。
  • 開放性神経管奇形:胎児の神経管が正常に形成されないために、脳や脊髄に障害が起きる。

妊娠15週~21週の間に検査血液を採取し、血液中の成分を測定します。そして血液の成分と妊婦の情報(年齢、体重、妊娠週数、家族歴、糖尿病の有無)を用いて、胎児の疾患の確率を算出します。採血をするのみなので、検査による赤ちゃんや母体へのリスクがありません。

NIPTではなくクアトロテストを受けた理由

出生前診断というとよく耳にするのは「NIPT(Non-Invasive Prenatal Testing)」です。NIPTも血液を採取することで検査ができます。筆者はクアトロテストの存在を知らなかったため、ぼんやりと知っていたNIPTを受けようと考えていました。

妊娠6週で初めて病院を受診し妊娠が確定した際、今後のスケジュールなどの様々な案内が医師からありますが、その中に出生前診断の案内がありました。医師からは、「NIPTは特定の病院でしか受けられないし金額も高い。年齢的にもまだ若いから受けるならクアトロテストで良いと思う。」という説明でした。筆者は妊娠発覚時32歳、出産時で33歳でした。

説明を受け自宅に持ち帰り、改めてNIPTとクアトロテストを比較し検討しました。大まかな違いは以下の通りです。

クアトロテストNIPT
費用約2~3万約15~20万
検査精度約80%99%
検査項目・21トリソミー
・18トリソミー
・開放性神経管奇形
・21トリソミー
・13トリソミー
・18トリソミー
・性別判定
・性染色体
・全染色体
・微小欠失
検査時期妊娠15~17週妊娠10週~15週

NIPTのメリットは何といっても精度が高いことです。さらに検査できる項目が多く、クアトロテストよりも初期に受けることができます。これらのメリットを踏まえて、NIPTを受ける方の方が多いのが現状です。
筆者は夫とも検討のうえ、医師から年齢的にもクアトロテストでよいと言われたことと、NIPTの費用の高さを考慮し、クアトロテストを受けることにしました。クアトロテストの精度の低さを指摘する意見もありますが、2~3万円で80%の精度のテストを受けられるなら、受けないよりは良いだろうと考えました。
母体の年齢と赤ちゃんの先天性疾患の確率は以下の表を参照ください。40歳を超えると確率が大幅に上がるため、妊娠時の年齢によって考え方は大きく変わるだろうと思います。

引用:ダウン症はいつわかる?ダウン症の赤ちゃんが生まれる確率 (niptjapan.com)

クアトロテストの流れ

実際に筆者が検査を受けた際の流れを説明します。病院によって異なる可能性があるため、受診先で確認するようにしましょう。

・予約と説明
クアトロテストは15~17週での検査を推奨されているため、15週より前に医師に相談し、予約します。病院によっては予約が取りづらい可能性もあるため、余裕をもった予約をオススメします。予約すると同意書が渡され、医師により内容を説明されます。実際に渡された同意書は以下に画像で示します。

(検査当日)
・同意書の提出
検査当日、同意書を受付に提出します。
・体重、血圧の測定
通常の健診と同様に体重、血圧を測定します。採尿はありませんでした。
・エコーでの胎児状態確認
採血による検査の前に、エコー検査がありました。通常の健診と同様に心拍等胎児に問題がないか確認していました。
・医師による確認
体重、年齢、家族歴など、改めて口頭で確認されました。通常は結果を1週間後に聞きに来るように案内がありますが、筆者は2週間後に健診が予定されていたためその時でよいということになりました。
・採血
いよいよ採血ですが、通常の採血と特に変わりませんでした。あっというまに終わります。

これで検査は完了です。通常の健診と変わらない程度の所要時間でした。

診断結果

検査から2週間後、定期健診時に結果を受け取りました。NIPTやクアトロテストは非確定検査のため検査結果がどのように出るのか気になる方もいると思います。実物が1番分かりやすいと思うので、実際に筆者が受け取った検査結果通知を画像で示します。

”Screen Negative”は検査結果が「陰性」であることを示しています。陽性・陰性の判定は例えばダウン症候群であれば確率が1/295より高ければ陽性、低ければ陰性となります。筆者の場合はダウン症候群の確率が1/8800であったため、「陰性」となりました。

陽性になった場合は、その後確定診断である「羊水検査」を受けるかどうかの検討が必要です。羊水検査はお腹に針を刺し羊水を採取するため、流産のリスクもある検査です。医師とも相談のうえ、羊水検査を受ける場合には予約をして検査する流れとなります。

まとめ~出生前診断は受けた方がいい?

出生前診断はデリケートな問題で様々な意見がありますが、筆者はクアトロテストを受けてよかったと思っています。ただこれは結果が陰性であったから言える感想かもしれません。陰性であったことで、その後の出産・育児に向けて多少なりとも安心材料となりました(もちろん確率がゼロではありませんが)。
結果が陽性であればどのように感じていたかは、当事者になってみないと分かりません。そのため「受けた方が良いですよ」とオススメすることはできません。陽性になった場合にどのような判断をすべきか、正解もありません。
ただし疾患を抱えて生まれてくる子供に対しての必要なケアの準備は早ければ早い方が良いと思いますし、出生前診断を受けることによってそれぞれの夫婦の価値観に沿って様々な選択肢を取ることができます。ぜひ夫婦でじっくり話してみてください。

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